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zoom RSS 「現代射法」について

<<   作成日時 : 2012/05/18 20:28   >>

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射法を大別すると、打起しの仕方によって分けられるのが一般的で、「正面打起し射法」と「斜面打起し射法」の二通りがある。全日本弓道連盟の弓道教本では「正面」と「斜面」の射法があり弓矢の操作方法に違いがあることの記述にとどめて、技術的な技法の相違点などの細部については記載されてはいない。

「弓道教本」の生い立ちは、戦前の旧武徳会が流派による射法上に差異があるのを統一しようとして、各派の代表者を集めて討議したが、各流派が自流の射法を主張してまとまらずに、やむを得ず昭和8年(1933年)に「弓道要則」なるものを作成したが、普及することは無かった。戦後の昭和24年(1949年)に日本弓道連盟が結成され、昭和28年(1953年)に「弓道教本」が刊行されて、「斜面打起し」は実戦に即応した射法として、「正面打起し」は儀礼を取り入れ体育的な射法として、斜面と正面の二つの射法を同格と位置づけて、昭和46年(1971年)に改訂増補版が発行されて現在に至る。

斜面にせよ正面にせよ、この二つの射法はその射法が流行するに至るには、その時代が要求するものに応じていたからで、それらの射法を受け入れられたことで流派が派生したのである。時代が要求したものとは、その時代の競技種目のことで、騎射(流鏑馬・笠懸・犬追物など)、歩射(矢を遠くへ飛ばす繰矢(くりや、遠矢とも)・速射をする指矢(さしや、数矢とも)など、堂射(三十三間堂の通し矢など)、弓戯(朝廷行事の賭弓(のりゆみ)・繁華街を中心に楊弓という吊り的を射る遊び・日南市発祥の四半的弓道など)、
単なる競技ではないが各地の神社では神事として「奉射(ぶしゃ)や「御弓神事」などと称する弓射行事などが行なわれている。

騎射・歩射・堂射・弓戯・神事などは、その時代に即した射法射技の文化として、現在においても各流派の流祖によって古流の保存など、それぞれの目的に合わせ一貫した技術・教えにより古くからの伝統を受け継いで、全日本弓道連盟とは一切関与せずに活動を行っている流派・団体も存在する。各流派の射法射技がその時代の古流文化を保存する意味で、流技を継承した行事として存続することは意義のあることである。
全日本弓道連盟では、各流派の特徴を取り入れるなどして、現代社会のスポーツ性を考慮した射法が主流となって、全国的に射法が平均化され地域差が少なくなっている現状である。だが、全日本弓道連盟の「統一見解による射法」は非常に曖昧なもので、指導者によって技術論に差異があり、同じ射程距離で同じ弓具を用いているにも関わらず、全く正反対の技術であっても通用しているのが現状である。

流派の教祖との師弟関係が希薄となっている現代では、このような技術論に差異が認められるのは、日本弓術の独特の進化過程に起因し、競技目的に合わせて技法が発展してきた経緯が背景にあり、伝統的技術体系である騎射・堂射・歩射の技術が入り乱れて、射手や指導者によって技術の取捨選択が成され、現在では多くの射手はそれぞれの技術が入り交じった「射法」を行っているのが現状である。
今日(こんにち)の弓道競技は、射程距離が28mと60mの近的競技と遠的競技の二種目の的前競技である。現在の的前競技が要求するものは、的中精度と射技に高度な芸術性を備えた弓道である。養心のように流派に属さない者は、その射をめざして弓道を修練するものである。

流派に属さない射手は、「正面打起し射法」にするか「斜面打起し射法」を取るか選択することができるのだが、実際は射手本人が選ぶのではなく、最初に弓道を学ぶときの指導者が正面であるか斜面であるかによって決まってしまうのが実情である。初心のときには本人が選択できない現実がある。

養心が指導者の称号を認許され体育協会の弓道コーチ資格を得てから初心者弓道教室の講師を担当して来た。その際に指導する射法は「正面打起し」である。学生時代に部活を経験してブランクがあり新規に弓道教室を申込んでくる場合で、経験者が「斜面打起し」を習っていた場合には「正面打起し」に変更することの承諾を得ての参加となる。だが、やっかいなのは「正面打起し」でありながら「斜面(武射系)」の矢の持ち方や矢番えや二足の足踏みを学んできた場合である。礼射系の矢さばきと足の踏み方に変えるよう指導すると、本人が習ってきたことを全否定されたかのようにけげんな顔をする場合がある。「正面打起し」で「武射系」の流派が存在することは承知しておりますが、養心はその流派に属していないことを伝え、斜面を教えることができても、その流儀を指導する資格が無いことを理解していただくのに苦慮する。

現在の全日本弓道連盟の弓道競技は、前述したように的前のみの競技である。速射をする指矢(さしや)競技や堂射の競技は無い。速射や堂射は「斜面打起し射法」であって「正面打起し射法」で競射することはあり得ない。的前競技は斜面ではなく「正面打起し」での競技で、的中精度と射技の芸術性を争う競技である。

現行の弓道教本内容を、儀礼精神を取り入れた芸術性のある体育的な射法として、「正面打起し射法」の法式のみに改めて発行すれば、それが全国的に統一された射法が普及され、会員同士の修練と研鑽によって更に射法射技の高度化による競技に発展する。斜面打起し射法は、その流派を継承する宗氏の行事を援助する諸策によって、無形文化財として保存する考えはいかがなものであろう。

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コメント(3件)

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今回の提案は新たな観点での将来弓道に対する見方として興味深いご指摘と拝察します。
怠漫仏
2012/05/20 16:39
射面を斜面に直してください
mitumei
2013/06/20 22:09
興味深く拝読させていただきました。
私も経験者の大学生を指導するに当たり、同じような局面が何度かありました。何と説明したら良いものか…
良くも悪くも、教わる側に対し最初の指導者というものが、後に大きさな影響を及ぼすのだということを、改めて考えされました。
水破
2014/02/15 10:19

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