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zoom RSS 伸筋の働きで「詰合う」

<<   作成日時 : 2009/03/15 14:27   >>

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「会」において重要なことは「詰合い」と「伸合い」である(教本一巻より抜粋)。
「会」は、自己の矢束(やづか)いっぱいまで引き分けてきた状態である。その状態で引き分けてきた力を休むことなく詰め合って、伸び合いで離れるのである。

『「会」は「引分け」の延長である。』と言うことは誰しもが知っている。
引き分けてきた力を持続させている状態が「会」であるとも言う。引き分けてきた力を変えることなく「詰合い」と「伸合い」を行っている状態が「会」で、その状態は時間的に少なくとも3秒から4・5秒は要すると言われている。

「詰合い」と「伸合い」の無い「会」は、その矢が的に的中したとしても、誰からもその射は評価に値されない。何故かと云うとその射には「会」が存在しない「弓道七節」であるからだ。
「会」の無い射は、「早気(はやけ)」と称して弓射の三大病癖(早気・もたれ・緩み離れ)の一つで、知らず知らずのうちに取り付かれて治すことが非常に困難な難病とされている。

引き分けてきて「会」が無く離れてしまうのは何故かと言うと、「会」に至る以前に離れた後の「残身」になった状態で「引分け」を行ってきているからである。
「残身」は屈筋を使って両手が握る力の状態(こぶし)になることである。離れる以前の「引分け」から屈筋が使われていて弓と弦を握って来ている状態では「詰合い」を行うことは出来ない。伸筋を使わずにして「詰合い」をすることは不可能と言って過言ではない。

これの前のタイトル「弓を引く筋力について」で、弓射は伸筋のアイソメトリックス(静的運動)であると述べたが、早気になる人の多くは屈筋を主に使って弓を引いていると言える。筋肉のどれが屈筋で伸筋であるかの区別は、意識的に判別するのが難しいのであるが、使っている筋力が屈筋であるか伸筋であるのかは、感覚を鋭くして感じ取ることは容易にできる。

「詰合い」とは、縦線と横線の十文字(三重十文字)を堅持しながら引き分けてきた伸筋の筋力を「会」に至って、その両肩の伸筋を堅固にしていくことである。
具体的には、両肩を真下に下げながら両肩の伸筋で肩根を堅固にしていく動作であるが、その動作は外見に現れない。まさに肩甲骨を左右に開くアイソメトリックス(静的運動)の持続であり、前鋸筋(ぜんぎょきん)※の伸筋の筋力によって両肩を詰め合う(堅固にする)のである。

「伸合い」とは、肩甲骨の前鋸筋の筋力を肩から肘まで、水が静かに流すようにその力を矢筋通り左右に流していく、伸筋が縮む筋力が作用する力の流れのことである。この力の流れは「会」では目には見られないが、離れた後の残身までの動きに現われる。
「離れ」によって縮んでいた伸筋の力が解かれ、開放された力の反動力によって胸が開く動作となる。意識的に胸を開いてはいけない。

※前鋸筋とは、肩甲骨に付いている筋肉の名称で、その筋肉の腱の先端が分かれて肋骨の各骨につながっていて、形が鋸の刃のような型をしていることから前鋸筋と呼ばれている。

昔に恩師から「握って行ったら離れるよ。」って指導を受けたことがある。「握って行ったら…」と云うことは、そこから握って行くと言うことであって、それまでは弓を握ってはいけないと云う教えである。握る行為は、屈筋を使うことによってなされるのは至極当然であるから、伸筋から屈筋に変化し握りつつ手の内が締まりながら離れるのである。

昔から「手の内」の教えに「卵中の手の内」と云って、卵を握り潰さないように弓を柔らかく握って手の内を整えるとの教えであるが、弓を柔らかく握るには伸筋の筋力を使うことであって、屈筋の筋力を使っては柔らかく握ることは出来ない。

屈筋と伸筋の筋力の働きについて理解しているかいないかによって、弓射が大きく変わる。
人間は、運動をしているときには骨格筋の随意筋を使っているが、どの筋肉をどのように使っているかは意識して運動をしている訳ではない。無意識に屈筋と伸筋をバランス良く使いながら運動している。しかし、そのバランスは屈筋を主体的に使うことで動的運動がなされている。弓射は伸筋を意識しながら、伸筋を主体的に使う静的運動である。

初心者にしばしば見受けられるのだが、腕の筋力だけで引分け、会に入り、詰合い伸び合えば、当然、腕が伸びきってしまった状態で、その時点で力尽きて放れてしまう。これがいわゆる屈筋が「ゆるむ」という現象である。

市営弓道場に掲げてある「静中動有」の額の内容は、弓射での伸筋の働きの様子を表していると言える。アイソメトリックス(静的運動)である。

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。 
本日お邪魔させていただいた者です。
初めての私たちに親切にしていだだき、誠にありがとうございました。
早速、ブログを拝見させていただきました。
興味深い内容がたくさん盛り込まれてあり、大変勉強になりました。
また、機会がありましたらお邪魔させていただきたいと思います。
その際はよろしくお願いします。
高知県&徳島県
2009/03/27 19:49
高知県&徳島県のご両人さん、
春休みを利用して進学校の下見に来ましたと言って、
ついでにネットで弓道場を見つけて、遠路から弓具一式を持参での稽古とは…。
よっぽど弓道が好きなのですね。

射技も立派でしたが、何よりも礼儀作法が身についておられて感心いたしました。高校弓道部活での指導が行き届いておられたのだと思います。

大学ではサークルで弓を射るそうですが、弓道を末永く続けられることを望んでおり、再会してご一緒に射ることを楽しみにしております。
養心
2009/03/27 20:40
養心さん、こんにちは。
実は、弓の目指すこともほぼ決まり、後は磨き上げて身に付ければ良いのですが、一つだけ疑問があって、相談をしたく思っております。ご快諾頂けましたら、よろしくご指導下さいますよう、お願いいたします。

その内容は、会で弓の中に体を割り込ませて、楔を打つということなのです。大きく押し引きした弓には矢が番えてあり、体を割り込ませることが出来ません。また、その下では胸弦が付きますし、上では頭を入れると弦で払ってしまいます。
胸や方の使い方なのかなぁ、とも思いますが、自信がありません。

これが解決すれば、一通り初心者らしい弓にはなると思うのですが、・・・重ねて、ご教示お願い申し上げます。
レフティー
2009/04/17 01:17
レフティーさん、お久しぶりです。
お尋ねの「会で弓の中に体を割り込ませて、楔を打つということなのです。」は、レフティーさんが以前、引き分けについて「大三からは、両肩を支点にして両腕の重さに任せれば、さほどの力を必要としないで会にもってこれますね。」とコメントされていた通り、支点となる両肩を左右に開くように使いながら、両腕の重さに任せて、両肩を真下に下げる意識で引き分けてくれば、両肩関節が賢固になってきます。この両肩関節が賢固になる感覚が詰合いにつながり、その様が肩に楔を打ち込んで行くような感覚であると思います。
その様は樽のタガを締めるようにとも言われていますが、いずれも両肩の詰合いのことです。

大三から手を下げる意識は無く肩を開き会に近づくに従って両肩を開く力を水平に矢筋通りにしながら、両肩を矢に近づけて行けば、弓の中に体が割り込んでいく感覚が得られるでしょう。(体への割り込みは感覚の話です)
会で、両肩から綿所まで力線を流していきつつ、背中の脊柱に大きな楔(石割用の楔)を一気に打ち込むと電光石火の如くの「離れ」です。
養心
2009/04/17 12:40
養心さん、誠にありがとう御座いました。
現在、行っていることの方向性で良い様に思われました。

実は、たまたま審査をされる先生と遠距離電話で話す機会がありまして、その後思い出してみると例の内容に疑問を感じてしまった、という経緯です。

現在、34年ぶりに弓を再開して巻き藁修行の3年目を迎えました。来春には的前で初心者らしいい弓が引けそうです。

改めて、養心さんにお礼を申し上げます。
レフティー
2009/04/17 14:15

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