「足踏み」の仕方について

足踏み(あしぶみ)は、運動会で行進しているときや、その場足踏みをしているように、膝を曲げて足を床から浮かして行なう動作ではない。

弓道教本 第一巻の105P 「胴造り」から抜粋(青色文字の部分
「足踏み」は、弓を射る場合、その基礎となる最初の足の踏み方-足がまえ-である。矢が正しく的にあたるためには、まず正しい姿勢を作ることが必要で、そのためには、正しい足踏みをしなければならない。単なる足開きではない。
「足踏み」は、射位(弓を射る位置)で脇正面に向かって立ち両足先を的の中心と一直線上に外八文字に踏み開く動作である。その角度は約六十度で、両足先の間隔はおよそ自己の矢束とする。
 この足の開き方に二つの方法がある。そのいずれを行ってもよい。
(1)的を見ながら左足を的に向かって半歩踏み開き、次に右足を一たん左足の辺にひきつけ、右へ一足で扇形に踏み開く。この場合足もとを見ないで行う。
((2)を省略)
このとき開く両脚の膝関節は常に自然に伸び、足底を大地に踏みしめ、腰を据え、下半身を安定させ、「胴造り」の基礎とする。(以下省略)

(1)の足の開き方(足踏み)は、射礼系の足踏みである。次の(2)に武射系の足踏みの仕方が記載されているが、省略した。理由は、弓道教本を発刊する際に、各流派の射法を取り入れて射法編を制定した経緯で、武射系の射技が記載されているが、全日本弓道連盟の射法射技は、射礼系の射法射技であると信じ込んでいるからである。礼射系と武射系が一緒になって礼射を行なう場合は、武射系の方は礼射系の体配と射法に統一して、射礼を行なうのが恒例となっている。

>的を見ながらではなく、的を見て物見を定めてから、である。
>左足を的に向かって半歩踏み開き、半歩ではなく、左斜め後方に一歩踏み開き、である。
>左足の辺にひきつけ、ではなく、次に右足先を左足先に揃えるように引き寄せて、である。
>扇形に踏み開く。ではなく、的と左足先を結ぶ右延長線上に、一足で踏み開く。である。

射礼系の足踏みの表現が、教本では曖昧な表現となっている箇所が多いいから、初心者においては異なった踏み開き方を行なっているのが目につく。特に、右足を開く場合、一直線に開かずに、弧を描いている。これは扇を開くイメージで行なっているからだと推測される。左右の足をそれぞれ60度の角度になるようにすると、踏み終えた後の両足が扇を開いたときの形に見えると云うことが、教本の表現である。

礼射系の坐射における「足踏み」は、的と気を通わせる気持ちで動作を行なうことが大切である。
・射位で脇正面に立ちあがって(両目線の高さに矢を保持したままで)、三重十文字の姿勢を維持して目線(顔)を的に向け、的に気を通わせる。
・自己の気で、的から射位に向かって一直線を描き、その線上に左足の親指先がくるところへ、左足を一歩(矢束の半分)踏み開く。その際、左足が的中心線と角度60度の位置に踏み開くこと。(射位の的正面で開き足を行ない、脇正面に体を向けて跪坐から立ち上がると、的の中心線より約半歩ほど前の位置に立つことになる。従って、左足は、半歩ほどの巾で左斜め後方に、一歩(矢束の半分)踏み開くことになる)
・次に、右足の指先を左足先に揃えるように引き寄せる。
・引き寄せた右足を、的と左足先を結ぶ右延長線上に、一足で矢束の巾に踏み開き、的中心線との角度が60度の位置になる。
・左右の足を踏み開く際は、膝を曲げずに足底の親指根(拇指球)を床に滑らせながら、踏み開くこと。(膝を曲げると体がぶれて、三重十文字が崩れ、円相の構えを失う)

「足踏み」の息合いは、吸う息で的を見に顔を動かし、的を見ながら息を吐き、次に吸う息で左足を踏み、吐く息で右足を引き寄せ、吸う息を細く長く使いながら一足で矢束の巾に踏み開き、一たん息を吐き、吸う息で顔向けを戻す。

顔向けを戻した際に、足元を見てはいけない。足元を見て、足巾や角度や位置を修正することは決して行なってはならない。従って、「足踏み」は慎重に正確に、一度で踏み開かなければならない。(自宅で「足踏み」だけを何度も繰り返して稽古することも必要である)
「足踏み」は、次に続く「胴造り」のための大切な動作であり、的と自己との気を結び、腰を据え、下半身を安定させる動作であるから、射を成功させるための大切なものと覚悟して、シッカリと行なうよう心したい。

以下蛇足
教本には、他にも曖昧な表現で記載されている箇所が見られるが、弓道の国際化で国際弓道連盟が創設されたなかで、現代弓道を諸外国の方々が正しく理解されるのか疑問である。柔道が国際化されて永く久しいが、日本の柔道と異なった発展をなしている現状を見て、日本の「現代弓道」が将来には「弓術」に後戻りしているのではないかと、危惧しているのは私だけであろうか。

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この記事へのコメント

938
2011年12月30日 09:52
>武射系の方は礼射系の体配と射法に統一して、射礼を行なうのが恒例となっている
恥ずかしながら知りませんでした 私は武射系で足踏み 取り掛けを行ってきましたが 礼射系の射法に変えるようにこれからします そちらの方がこれからの弓道の国際化にも合致するように思えます 養心さんのこのところの アップロードの頻度の速さに感心してます まとめると立派な教本にもなりそうですね 来年もよろしくお願いします。
養心
2011年12月30日 16:48
コメントに返信
938さん、礼射系の射法に変えるのは、938さんの先生から承諾を得る必要があるかと思います。教本一巻の130Pに、単身で射礼を行なう場合と、流派を異にする多人数が同時に射礼を行なう場合について記載されています。独自の射礼を行なっては儀礼の本旨に反するとまで記しています。また、立射礼(たちしゃれい)の141Pでは、『足踏みの開き方(閉じ方)は、複数の場合は一様に行うことが望ましい(申し合わせによる)。』と注意書きに記載されています。
参考資料として、日弓連発刊の「弓礼・弓法問答集」18Pには、礼射系と武射系についての解説が記載されて、8行目『「いまこの教本に示している方法であれば、礼射系・武射系何れでもかまいません。しかし、その動作は下記のように一貫性を持つことが好ましいでしょう。「弓構え」「打起し」「引分け」にも各々礼射系・武射系があります。」と記して、「矢の持ち方」「矢番え」「乙矢の打込み」「足踏み」「足の閉じ方」についての動作を礼射系・武射系に対比した表があります。いずれにしても武射系で正面打起しを行う流派も存在しますから、日弓連が曖昧な表現に終始している点は解消されないでしょう。

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