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zoom RSS 「弓の強さ」について

<<   作成日時 : 2012/03/01 22:16   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 5 / トラックバック 0 / コメント 4

弓の強さを表すのに昔は、矢摺籐の上部の厚みを測定して、尺貫法で何分何厘などといって弓の強さを言い表していた。同じ厚さの弓であっても強さは個体差があってアバウトな表現であった。現在は、引き尺(矢束)85pを並弓、90pを二寸伸弓、100pを四寸伸弓と呼称し、それぞれの引き尺をバネ秤で測定して強さをkgで言い表している。

昔は力自慢で、弓の分(ぶ)の厚さを自慢して6分=18mm以上の厚さの弓を強弓(ごうきゅう)と称して自慢している人が居たものである。同じ6分の厚さの弓であっても、弓の構造が三枚打ちであったり、側木の中の竹ヒゴの数によって強さが異なる。従って、実際にその弓を肩入れして診ない事には強さを判断できない。しかし、他人の弓を手にして肩入れするには持ち主の許可を得なければ失礼となる。従って、肩入れせずに弓の強さを判断する方法として、本弭の所の弦を親指の腹で押さえてその弾力を測定し強さを判断する。
素人が肩入れをすると、弓の成りが変化するから、親しくしていない人が肩入れするのは嫌われる。ですから「よい弓ですね・・張顔を拝見してよろしいですか?」などと言って許可をいただいてから、弓を手にして弓の成りを見ながら本弭の弦の弾力を診るのである。「素晴らしい弓ですねぇ〜」と言いながら返却するが、心のなかでは(自慢するほどの強弓ではないなぁ〜)とつぶやいている情景がある。

現代になっても若人は、ととかく弓は強い物を好み、強弓を自慢したがる。弓を強くすれば、それなりに矢勢(やぜい)は強くなり、的中率も向上する。しかし、安易に弓を強いものに替えることは大変な問題がひそんでいる。
いい弓を引く射手だなぁ、と思っていたのに、あるとき突然射が変わった。聞いてみると弓を強いものに替えた、ということがよくある。強い弓を引きたがる傾向は悪くないのであるが、それで射形を崩し、肩や肘を痛めることがあっては、とても残念なことである。

矢勢は、弓の強さによって、それぞれの最大の矢勢がある。10kの弓には10kの矢勢、15kの弓には15kの矢勢がある。矢勢は、弓の強さと、矢の重さと、弦の太さ(重さ)とのそれぞれのバランスと、射手の技術(手の内と離れ)によって最大の矢勢が引き出される。特に、手の内が崩れ、離れがゆるんでいては、最大矢勢は引き出せないし、的中も得られない。

弓道教室の初心者は、当初は10kとか11kの弓を使って弓道を学ぶ。習い始めて半年ほどで的に中りが出始める。中りが5割から7割の的中率になったら弓を1kか2k強いものに替えるのもやぶさかではないが、矢勢や射形など指導者の判断(アドバイス)を求める必要がある。特に、学校の部活に於ける場合は、丁度気候が冬季に向かう時期であるから、気温の低下で弓力が強くなることも考慮する必要があり、新入生を迎える春に弓力が下がる時期に、少し強い弓に替えて、弱い弓を進入部員にバトンタッチするのがベストである。

以下は、「弓道教本 第二巻」p.21〜に掲載されている、伊勢貞丈という人の『安斎随筆』の一部を抜粋したものである。
 『ある弓術の書に「弓を煉る」ということをいえり。「煉る」とは初学のとき、わが力に勝ちたる弓をば引かず、わが自由に引かるゝ程の相応の弓を引きて、手前を習うことをいうなり。わが力に勝ちたる弓を引けば、わが身弓を引かずして、弓にわが身を引かるるなり。強き弓は、われは引かんとするに、弓強きゆえに歯を食いしばり、胸より上に、りきみ強くなり、腹より下、足踏みまで浮き立ちて腰弱く、左右の腕は屈して伸びず、息を上にせき上げ、胸中甚だ苦しく、腕ふるえて、我は引きたもたんとする内に、弓の方より離れんとする故、力およばず、心にまかせず放すゆえ、矢所大いに違うなり。弓の諸癖は強弓に引立てられて手前乱れて調わざるによって、さまざまの癖出ずるなり。初学の人は、強弓にては矢行ききびしく遠く飛ぶべしと思い強弓を好めども、強弓にては、我が力、弓に入らずして、ただ弓の力ばかりにて離れ行くゆえ、矢勢弱く遠くとどかず、中途にて落つるものなり。
 わが力に相応して、自由に引かるる弓にて射れば、わが力と弓の力と和合して手前乱れず、よく調えるゆえ、総身の力、弓に入りて矢勢もきびしく遠くに至り、矢所も違わず。近世三十三間堂の通し矢を目当てにして弟子に教ゆる師匠は、弟子に強弓を引かする事を好む、弓の力にて堂を通さんと思うが故なり。常に強弓を引かする事を好む時は、一生が間手前狂いて調わず、射術成就する事なし。又通し矢は用に立たず、矢数を射増したる名を取るのみにて、無益なる業なり。見せ物の類なり』
。(以上教本より転載)

できるだけ強い弓を引きたいという気持ちは理解するが、それよりも自分の技術を十分に発揮できるだけの、自分の体力に合った弓を使い、鋭く矢勢のある矢飛びを生み出すことの方がまず大事である。
私の経験では、13sの弓を上手く射られない生徒よりも、11sの弓をかなり上手く射る生徒の方に矢勢があり、拝見していて気持ちの良い思いをする。そういうもののようである。

私は、5年前に右腕の筋肉萎縮症の治療で頚椎を手術し、その後のリハビリを兼ねた筋トレを目的に、術後四ヶ月から8kの弓を使って弓道を再開した。あれから1kずつ弓力を上げて、現在は15kの弓を用いている。筋肉を増強する目的であるから、当然今の体力に見合った弓力よりか強い弓であるが、13kの弓を用いて射てみると弓と心身が和合し、矢勢が良く、弦音も良く、離れも冴えている。15kの弓を引きこなせるのは、あと半年後か、一年後か・・な、楽しみは先にあるのである。

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>引き尺(矢束)85pを並弓、90pを一寸伸弓、95pを二寸伸弓、100pを三寸伸弓と呼称し、それぞれの引き尺をバネ秤で測定して強さをkgで言い表している。
とありますが 私の今までの解釈では85pを並寸90pを伸び(二寸伸び)で何キロの弓かを測定していましたまた弓道場の方に聞いてみても同様の解釈です
これはまちがいなのでしょうか 教えてください

938
2012/03/15 09:16
938さん、ご指摘をいただきありがとうございます。
早速に訂正させていただきました。
今後もよろしくお願いいたします。
養心
2012/03/15 09:43
はじめまして。過去記事にコメント失礼します。
僕は強弓好きですが、矢飛びや飛距離を求めているわけではありません。
弱い弓は手先でごまかしが利いてしまう。強弓を引けない射法は合理的な身体運用ではないという信条から敢えて強弓を使っています。
初心者については、勿論弱い弓を用いて技術を学ぶべきと思いますが、ある程度習熟したならば、強い弓に挑むことで、弱い弓故に隠しおおせていた癖を見つけ、直すキッカケに出来ると考えています。
強弓lover
2013/10/25 02:41
強弓loverさん、はじめまして。
私は、自分の体力に相応した強さの弓を使って行射するのが楽しいのです。
弓を押し引きする筋力は、屈筋よりも伸筋の筋肉を主体に使って行射することが、合理的な射法と考えています。自己の体力よりも強すぎる弓ですと、伸筋が負けてその代償筋として屈筋が必然的に作用してしまいますから、やみくもに強すぎる弓を用いることは避ける方が得策だと考えております。
教本には、「自己の体力より強くても、弱くてもいけない」と記載してあります。
養心
2013/10/25 09:53

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